根本が変わらない、金融政策の変更
日本銀行が金融政策の総括と新政策の発表をして一週間ほどが経ちました。
(もう一週間過ぎたのかと、時間の流れの速さに驚きを隠せない)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf
2016年9月21日 日本銀行
金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
「フォワード・ルッキング」とか不自然にカタカナ語を使用しているのが気に食わないんですが、それは置いておくとして。
物価上昇率2%がまだ達成できないので期限を撤廃して、
10年物国債金利が0%周辺になるように国債購入量を弾力的に決定する
みたいな感じかな?
専門じゃないので結構難しいんですが、報道されているほど劇的な変更ではない感じですね。
それほどインフレになっていない理由に原油価格の下落を含めるのはご都合主義ではないでしょうか。
だって
統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)
食料及びエネルギーを除く総合消費物価指数でさえこの数値だから。
個人的にはエネルギーだけ除いた統計も知りたいのですが。
2年たっても2%を達成できないので無期限にします、というのは正直ですが
そもそも金融政策によって誘導されたインフレは本当に健全なものなのか??
この根本的な問題に正面から向き合う人が少ない。
経済学の教科書では緩やかなインフレは経済が健全な証拠だと書かれているらしい。
でもそれは経済の好循環の結果起こるものであって、つまり結果であって、好景気の原因とは限らない。
事実実質賃金は下落気味で、消費者の節約志向が戻りつつある。
将来物価が上昇すると予想されるとき、消費者が取る行動はなにか。
一つの商品に限ってみれば早めに買おうと考えるかもしれない。
でも家計全体としてみれば支出を抑えるのが普通の感覚です。
経済学はそこがどうもずれている。
経済を上向かせたいなら、日本の国内総生産の6割を占める消費を刺激するべき。
消費者は手元に沢山お金があればある程度支出を増やしてくれます。
生活水準の高くなった現在では劇的な増加は望めないのも事実ですが。
また、貧困層がそれなりの所得を得るようになれば富裕層がさらにお金を持った時よりも効果的に消費に貢献します。
日本経済を上向かせるにはやはり、地道に政府による再分配政策を強化するべきではないかと思います。あとは新市場の開拓を促す政策とか。
経済学の理論・真理というのは時代によって変わるものです。
経済史を学ぶとそれが分かります。
もしかしたら今我々は経済学の転換期にいるのではないか。