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政治・経済・社会について考えを綴る、とある東大生の雑感ブログ。

強行採決とは何か

11月4日の衆議院TPP特別委員会で、環太平洋経済連携協定TPP)承認案が自民・公明・維新の賛成多数により可決されました。

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山本農水大臣による「強行採決の可能性」に触れる発言などが物議を醸し、民進党共産党による詰め寄りや退席など激しい抵抗がありました。

 

政府・与党が早々にTPP承認案を可決したい理由は、米国大統領選挙にあると言います。

オバマ政権はTPPを推進してきましたが、来週の火曜日に行われる大統領選挙(トランプVSクリントン)のどちらの候補者もTPPに慎重な姿勢をとっており、

日本が批准することによってオバマ政権中の批准を促すことや、日本の世論がTPP反対に傾く虞を考慮したと見られています。

 

TPPが日本に本当に利益をもたらすのかに関しては簡単に結論できないのでここでは差し置くとして、

ここで今回の可決が「強行採決」と呼ばれることについて純粋に疑問を抱きました。

 

強行採決」という言葉は、与党が数の力で悪い法案を無理やり可決させたというような文脈で使われます。

審議を尽くしていないのに採決に踏み切る場合は強行採決と呼ぶことができます。

(日本の国会の審議なんて大抵形だけで議論しても修正が為されることは少ないですが・・・)

 

TPPの批准はYesかNoで答えるしかない案件です。(批准とは何かを考えるとそう)

また、TPPは国民の間でも賛否が分かれており、全員の納得する結論はおそらく出せないでしょう。

こういうとき、代議制民主主義国家では多数決という最終手段を取らざるを得ません。

選挙で選ばれた多数派すなわち与党は、「少なくとも現時点で他のどんな集団よりも最も確からしく国民の総意を代表していると推定されるべき集団」だからです。

 

野党はTPP反対が「絶対的真理である」という暗黙の前提を立てて、「この採決は不公正だ」と批判しています。

しかし或る一つの主張が絶対に正しいということはあり得ません。

あくまでも国会の採決が、現時点で最も確からしい解として認定される仕組みになっています。(国権の最高機関)

 

もし与党の主張が国民の総意と一致していないのであれば、それは選挙制度に問題があります。

それならば選挙制度改革を進めるべきでしょう。

 

本当はTPPは日本を破壊する協定なのかもしれません。

アメリカはTPPの本質に気づき、締結を見送ろうとしているのかもしれません。

 

でも国民が先の選挙で自民党TPPを含めた政策を支持したことは確かです。(すべての政策に賛同したわけではないでしょうが、そう見るのが最も中立的)

であれば今回の採決を強行だと批判することはやや独りよがりな気がします。

 

 

まあ、個人的にはTPPよりもアジア内の経済連携の方が大切かなと思っているんですけどねー・・・。