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政治・経済・社会について考えを綴る、とある東大生の雑感ブログ。

「共謀罪法案」を冷静に考えてみる

3月21日、「組織的犯罪処罰法改正案」が閣議決定され、衆議院に提出されました。

共謀罪創設によって国民の権利が不当に制限される、テロ対策と言いながらテロの文言が入っていない、等々様々な批判が展開されています。

 

この一つの記事では書ききれないほど考えるべき点があるので、まず今回は議論が熱する中で忘れられていそうなポイントを2つ挙げながら少し私見を述べたいと思います。

 

①「組織的犯罪処罰法改正案」=「共謀罪」「テロ」は誤り

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty156_7b.pdf

www.mofa.go.jpより

 

こちらは今回の改正案の元となっている国際条約の要旨です。

よく見てもらうと対象は「重大な犯罪(懲役4年以上など)の合意」、「犯罪収益の洗浄(マネーロンダリング)」、「司法妨害」等ということになっています。

このうち一つ目がいわゆる共謀罪に類すると考えられます。テロ抑止というのは明記されていません。(そもそもテロの法的な定義が不明)

テロ対策を強調するのは国民の納得を得やすくするための方策でしょう。

 

②「共謀罪」の制定=悪、ではない

(本来は「重大犯罪の合意」と言う所を便宜上「共謀罪」と言わせてもらっていますが)「共謀罪」に不安を抱く人たちの多くは「思想の自由」などの人権侵害を心配しているようです。その点に不安を抱くことは同意します。

 

しかし問題は「共謀罪」を法制化することではありません。

本質は「共謀罪の法制化により、どんな些細な意気投合でも即処罰の対象になってしまうのではないか」というところにあります。

これはつまり、法案が不明瞭な領域を含むせいで捜査や検挙が(時の政権の意向などに左右されるなどして)不当に行われる危険性を排除出来ていないとみんなが考えているわけです。

 

http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2017/03/kyobozai_old_new.pdf

こちらの新旧対照表の4ページを見ますと、組織的犯罪集団と認定される要件は「集団の結合関係の基礎が当該犯罪の実行にある」ことであり、さらに刑に処するためには「資金や物品の準備や下見など、犯罪実行の具体的な準備をした」事実が必要です。

 

これを落ち着いて解釈すれば、一般人が不当に拘束されるという懸念は当たらないことが分かります。

ただし、捜査機関が強引に犯罪成立要件に当てはめるよう画策する可能性は考えられますので、それを防ぐために捜査への監視や抑止を盛り込んだ法律を別途制定することが建設的な批判というものではないでしょうか。

 

(急ぎの為、後日文面を微修正します)