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政治・経済・社会について考えを綴る、とある東大生の雑感ブログ。

「間違い日本文化」への対処法

「間違いだらけの蕎麦」

本日放送されたTBSのこの番組。

内容はこういうものでした。

 

”アメリカ アリゾナ州 フェニックスにある蕎麦屋「SOSOBA」。命がけで完璧な蕎麦を提供しようとするも、SoSo(まあまあ)という評価を受けたことから「SOSOBA」と名づけられたダメ蕎麦屋だ。茹でるときは「水道水」、茹でた「そば湯」は捨てる・・・。そんなダメ蕎麦屋に、「一般社団法人 全麺協 正会員」「江戸流手打ち蕎麦 轟そばの会 常任理事」など数々の称号を持つ蕎麦打ちの達人・松本行雄が 潜入! はたして、松本は正しい日本の蕎麦を伝授し、ダメ蕎麦屋を成敗できるのか!? ”(リンク先より引用) 

http://www.tbs.co.jp/program/bukkomi-japanese_20161227.html

 

 

実際に見た人でないと伝わらない所も多いとは思いますが、

日本人の想い描く蕎麦とはかけ離れたSobaが作られていく過程と、調理している彼らのポジティブな姿勢にひどく笑ってしまいました。

 

簡単に説明すると彼らは蕎麦のコシや香りを楽しむ調理法を全く知らず、またタイや中国、韓国由来の様々な香辛料をやたらめったら混ぜてしまっていました。

そのSobaを食べた客は「日本の蕎麦は辛いねえ、こんな食べ物なら僕は日本に行かなくてもいいかな」などとコメントしていました。

そこで潜入した蕎麦打ち職人がマスクマン姿で生地を捏ねるところから実演して見せ、蕎麦の本当の魅力を知ってもらうことができました。

 

「間違い」を容認すべきか正すべきか

このSOSOBAの店員さんたちに悪気はないのです。

彼らは彼らなりのアイデアで、オリジナリティのあるメニューを提供していたのです。(評判は必ずしも良くないようでしたが…)

とはいえ、「間違った日本料理」を食べたせいで日本への足が遠のいてしまうことは日本人として歓迎できることではありません。

 

蕎麦に限らず、そしてアメリカに限らず、天麩羅・寿司・ラーメンなどが日本人には奇妙な形で提供されている事例は世界各地にあります。

逆に私たちが海外の料理を改変して定着させてしまっている例もあるわけで、お互い様です。

 

「だからあんな番組を作って無理やり矯正するのは行き過ぎだ」という意見が多々聞こえてきました。

確かに、文化の伝搬の過程で変化が起こったことに対して批判を加えることは文化の多様性を損なうものであり、厳に慎まなければなりません。

 

しかし、それは別として「本物」を知ってもらい「本物」の良さ、今回の例でいえば手打ちそばの豊潤な香りや食感を体験してもらうことは推奨されて然るべきです。

その理由の一つにはもちろん、それをきっかけに日本に興味を持つ人が増えれば長期的に日本の魅力を高め、経済学的には観光収入の増加につながるということがあります。

 

ただそれ以上に、自分たちの文化を知ってもらうということそれ自体、お金には変えられない価値や喜びがあるのではないでしょうか。

 

私たち日本人は日本文化を世界にもっと誇っていいと思うのです。その上で相手が加えた変化も寛容する姿勢が、これから目指す在り方だと感じた番組でした。